生活

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 労働に当然、楽な作業はない。建設や発掘に携われればいい方で、何もない日には価値のあるごみを漁るしかなかった。  日雇いがスタンダードであり、暮らしに余裕はない。ただ、稼ぎが丸ごと自分に充てられるのは大きかった。僕にとってはの話だが。    木々の麓、疲れきったジークが眠っている。最初は野宿に驚いていたが、気に入ったと言っていた。  壁のない天井を入り口に、夢に潜れるなんて最高だ、これこそ野宿の醍醐味だと。  船から下りて一ヶ月、僕の暮らしは変わらない。強いて挙げるならば、町を移動する行程が加わったくらいだ。それも、相当ゆっくりとした移動だが。  けれど、ジークは違う。天と地の差に、順応しているのが不思議なほどだ。  それどころか、彼は常に楽しそうだった。疲労も空腹も、怪我や体調不良でさえ楽観的に消化してしまう。人柄を理解している気でいたが、ここまでだとは思わなかった。  彼の笑顔がなければ、変化のなさに少しずつ疲弊し、焦っていたことだろう。  よく、弱音も言わず着いてきたよなぁ。そもそも、あの町で僕たちが友人であることが異常だったよな。  警戒を放り出し眠る顔は、疲れこそあれど穏やかだ。  見ていると、不意に出会いが蘇ってくる。今さら可笑しくなって、小さな笑みを漏らしてしまった。
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