落下物

1/1
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ

落下物

11:44 PM 曇ってはいるものの日差しは強かった。 夏の公園、アルフィーは一人ベンチに座り友達の猫達と近況報告の真っ最中だ。 「この前、神父様が僕の中にいる悪魔に接触しようとしたんだ」 最近は友達の輪も更に広がり、野良猫に限らず、首輪を付けた飼い猫までもがいた。 「だけど悪魔は何にも反応してこなかった……全くなんにも」 「ニォ――……」 「ヌゥ――!?」 「ニ~」 猫達の反応は様々だったが大体が『なんだって――!?』そんな感じだ。 そんな中、まずは一匹の猫が何かを察知し固まった。視線は誰も居ない道路の先。 続くようにその場にいる猫達全員が同じ方向を見詰めた。 「?……どうしたの皆……」 猫達の不穏な様子にアルフィーも恐々道路の先を見詰める。 しかし特に変わった様子は無い。 「……何もいないよ」 先を見詰めるアルフィーの顔に生温い嫌な風が吹き付けた…… 「ニォ――!!」 瞬間、猫達全員が一目散にその場から逃げ出した。 「え!『逃げろ』って何からッ!?」 アルフィーはベンチから立ち上がり、去って行く猫達を視線で追う。 猫の言葉が解るアルフィーにも『何が起きているのか』までは把握出来なかった。 だが直後アルフィーにも嫌な気配と耳鳴りが襲う。再び猫達が見詰めていた道路の先を振り返った。 「…………何かいるのッ?」 「ねぇ!」と猫達の去った方角をもう一度向いた瞬間…… ――ボトンッ 「!?」 アルフィーの頭上付近から足元に何かが落ちてきた。 急な落下物に驚きながらも『何が落ちたのか』と足元を確認するアルフィーに…… 『私のジュエリー知らない?』 首だけの女性が尋ねてきた。 足元に転がっていたのは女性の生首。 その女性の視線はしっかりとアルフィーの眼を捉えていた。 「ぅああああああああああ――!?」 誰も居ない公園に絶叫が響き渡る。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!