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「あああああああああ」
「ああああああああああ」
アルフィーは叫びを上げたまま全速力で走った。
向かった先はジャックの自宅。
「あああああああああ」
アパートの階段を駆け上がりドアの前までたどり着いた。
開けようと必死でドアノブを引っ張るが鍵が掛かっていたためガチャガチャと音を鳴らすだけでドアは開かない。
「あああああああああ」
叫びながらショルダーバッグを探り、ジャックから貰っていた合鍵で鍵とドアを開ける。
「あああああああああ」
叫んだまま部屋へ上がり、ジャックの姿を探して一頻り部屋を駆け回った。
居ないと分かると叫びを上げたまま部屋を出てしっかり鍵も閉め階段を降りて再び全速力で走り出す。
「あああああああああ」
次にたどり着いたのはカンタベリー警察署。受付の女性警官の前を即行で通り過ぎる。
幾度かあったその光景にすっかり慣れた女性警官は何事もなかったように書き仕事を続けた。
「あああああああああ」
階段を駆け上がり、廊下を走り、透明板ガラスの壁で出来た会議室の前を通り過ぎ……たのを戻りガラスに張り付いた。
十数人の刑事らが会議をするその中に、ジャックの姿を発見したからだ。
――バンッ!
会議室の外から聞こえた異様な音に刑事らが一斉にそちらを向く。
「ッ!?」
視線の先には涙と鼻水を垂らしたアルフィーが壁に張り付いていた。
驚きで思わず顔がひきつる刑事達。
「じんぶざま――ッだずげで――!!」
――バンッバンッ
「ハアァァァ~……」
ガラスを叩くアルフィーに気付いたジャックは頭を抱えた。
呆れて見向きもしないフレックスに、笑いを堪えるオリバー。
会議の指揮をとっていた署長の額には何本もの青筋が立ち、そして切れた。
「ジャ――――ックッ!!」
「すみませんッッ!!」
署長の怒号と共に立ち上がったジャックは、机に足をぶつけながら直ぐに会議室の外へと走った。
「ブァハハッ!」
堪えてたオリバーも限界を迎えた。
部屋から出たジャックがアルフィーに駆け寄る。
「青年どうッ」
「ああああぅぅうう゛」
「シ――ッ!」
未だ泣き叫ぶアルフィーの口を手で押さえるジャック。
「青年!今見ての通り忙しいっ……て言うよりここは関係者以外立入禁止だ!!」
口から手を離すが……
「ぅあああああぅう゛」
「!?」
まだ叫んでいたので再び押さえた。
「シ――ッ!青年静かにだ!」
「あ――ぶあぶあぶあぶ!」
口を押さえて離してしていると、声の震えたアルフィーが「フフゥ」と笑った。
「よし、もう泣くな!さっきも言ったが今は話しを聞いてやれない」
それでもアルフィーは無言でジャックに抱き着いた。
「ぁあ……参った」
「ジャ~ック座る場所が無くなるぞ!」
笑顔のオリバーが会議室から顔を覗かせた。
部屋の中を見れば悪魔のような表情を浮かべた署長と目が合う。
「まずい……」
焦るジャックはスマホを取り出し即行でメールを打ち始めた。
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