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SOS
11:58 PM
料理が趣味のアイラは、スーパーでそれ用の食料品を買っていた。
そんな彼女のスマホがメールの着信を知らせる。
「ジャック……って……あぁアルフィー」
メールの内容にため息を吐くと、買い物を切り上げ足早にレジへと向かう。
数分後、アイラはジャックからのSOSによりアルフィーを迎えに警察署に到着した。
「アルフィーッ!皆に迷惑掛けちゃ駄目じゃない!」
「ぅう」
「嬢ちゃん本当にすまないッ助かった!詳しい話しは夜に!悪いがッ」
「ええ、こっちは大丈夫よ」
ジャックはバタバタと会議室に戻って行く。
戻るなり署長に謝罪を繰り返すジャック、その様子は部屋の外にいるアイラとアルフィーからも見えた。
「あなたのせいで怒られてるのよ!」
「ぅうッ」
「ジャックが帰ったら同じ位謝らないと!」
「うん……ごめんなさい、アイラも」
「いいわ、カフェにでも行きましょう『何があったか』私にも教えて」
「うん」
12:10 PM
アイラとアルフィーは署を出た後、馴染みのカフェで落ち着いた。
オレンジジュースの入ったグラスを力強く握るアルフィーは……
「その首の女の人が僕に言ったんだ『私のジュエリー知らない?』って!!」
恐怖に耐えながら顛末をアイラへ説明していた。
「ぅう~それは強烈ね……」
「でしょ!!」
眉をひそめたアイラは紅茶を一口飲むと……
「きっと失くしたジュエリーをあなたに見つけてほしかったんじゃない?」
そう推察した。
「何で僕なの!?それに何で首だけ!?ジュエリー探す前に体を探した方が良いって絶対ッ!!」
「私に言われても……でも首だけの女性って、まるでアレね『首無しの貴婦人』」
アイラの言葉にアルフィーの顔がひきつった。
「話さなくていいから」
「『ドレスを着た首無しの貴婦人が、湖で自分の頭を探している』っていう」
「ぎゃああああ――!!」
問答無用で話された内容にアルフィーは目を瞑り耳を塞いだ。が、ふと冷静にもなった。
「でもそれってロンドンでしょ?」
「知ってるんじゃない。あなたホントにオカルト苦手なの?」
「苦手だよ!有名な話しだから知ってただけッ!」
「まぁとにかく、ジャックの仕事が終わったら話してみましょ。しっかり謝った後でね」
「うん……」
沢山の人に迷惑を掛けてしまった罪悪感から、アルフィーは俯いた。
「それと「今晩ジャックの家でアルフィーと一緒に夕飯作る」ってメールしたら彼喜んでた!だからアルフィーも手伝って!」
「!……うん!!」
アイラの言葉に、今度はアルフィーの目がキラキラと輝く。
笑顔を取り戻したアルフィーにアイラも微笑んだ。
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