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1:50 PM ショッピングモール
その日の午後、ジャックとオリバーはある事件を捜査するためモール内にある宝石店を訪れていた。
「この女性で間違いないですか?」
ジャックが男性店員に写真を見せている。
写っているのは20代後半で茶髪の女性。
その後ろでは、オリバーがショーケースに陳列された宝石を真剣に眺め歩いている。
男性店員はジャックからの質問に写真を見詰めたまま頷いた。
「ええ、間違いないです。4日前ここでオパールのネックレスを買っていかれたお客様です。ぁあ男性の方も御一緒に」
「その男性ってのは……この男ですか?」
ジャックはスーツからもう一枚写真を取り出し店員に見せた。写っているのは女性と同じく20代後半で黒髪の男性。
店員は男の写真を見ると、またも頷く。
「ええ、その方で間違いなです」
「防犯カメラを観せてもらっても?」
「ええ構いません。此方に……」
店員の案内で店の奥へ行こうとしたジャックだったが、オリバーの方は宝石に夢中で付いて来ようとしなかった。
「オリ!来い!」
「信じられないような値段だよな!ヤバいッ彼女にせがまれてんだ!」
「いいから仕事しろ!」
眉間にシワを寄せたジャックに呼ばれたオリバーは、宝石を目で追いながら渋々ジャックの後をついて行く。
二人は店の奥へと入って行った。
9:10 PM ジャック宅
夏のイングランドは日が長い。
アイラとアルフィーは漸く日が沈んだ頃、ジャックの部屋にいた。
アイラは調理の後片付けに追われ、アルフィーは床に寝転び手書きで宝の地図を作製中だ。
夕飯の支度は既に終えており、あとは食べるだけになった頃、ジャックが帰って来た。
「おかえりなさいジャック!」
「ただいま、今日は急にすまなかった……大丈夫だったか?」
「ええ、問題無かったわ」
ジャックとアイラが話す間(怒られるかも)や(謝らなくては)で落ち着かないアルフィーは、アイラの背中に隠れた。
「ほらアルフィー!」
「ん……」
アイラに前へ出されたアルフィーは……
「……ごめんなさい、神父様」
眉を下げ小さな声で謝罪を口にした。
そんな彼の様子にジャックは小さく笑う。
「もういいさ、青年の話しを聞いてやれなく悪かったな」
「!?」
怒られると思っていたアルフィーは逆に謝られた事に驚いた。アイラも「甘いんだから」と言いつつ、表情は笑顔だ。
半日気に病んでいたアルフィーの胸も、ほっと撫で下ろされた。
「今度からはちゃんと電話するよ!」
「ああ、それがいい」
笑顔で約束を交わすと、三人は食卓に着いた。
アイラの豪華な手料理を前に早速、今日アルフィーが体験した恐怖の出来事をジャックへ話すことになった。
話しを聞き終わる頃には、ジャックの眉間にシワが寄っていた。
「まさか……」
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