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出番?
「どうしたのジャック?」
「もしかしてまずい事になるッ!?」
「いや……今抱えてる事件で似たような事が……詳しい事は話せないが」
刑事として事件の詳細が話せない彼は渋い顔をするしかなかった。
そんなタイミング……
『速報です』
点けていたテレビからニュースが流れた。
『川から女性の頭部が発見されました。被害者は20代と思われ、警察は殺人事件として……』
事件の内容にアイラとアルフィーは驚愕した。
「まさかジャックの言っていた事件って!」
「ああ……青年が見た霊と関係があるかは分からないが……タイミング的に驚いてる」
話す間、ジャックはビーフシチューを食べる手が止まらなかった。
「ホントに美味いなッ!このトマトシチュー!!」
「あぁ……それは良かったわ……ビーフシチューだけど」
「ハッ!?……僕食べるの忘れてた!」
アイラは、ジャックの味音痴とこの話しの内容で美味しく食べられている事に苦笑いを溢した。
10:58 PM
食事を終えシャワーも済ませた三人。
アイラとアルフィーは泊まる気満々で荷物の用意も完璧だった。
そんな三人は今、ジャックの部屋の巨大なキングベッドの上で横になっている。
アルフィーに至ってはティディベアを抱きしめ既に爆睡中だ。
ベッドの真ん中でスマホを弄るジャックの隣、同じく横になっているアイラが声を上げた。
「良いこと思いついた!!」
アイラの『良いこと』に顔をしかめるジャック。
「……聞きたくないが、どうせ聞かされると思うから聞いてやる、何だ?」
「これは正に『ゴーストネゴシエータ』の出番じゃない!?」
「『正に』の意味も分からないし『出番』も無い、そろそろ寝るか?」
ジャックは隣で眠るアルフィーを起こさぬよう腕を伸ばし、サイドテーブルのライトを消した。
部屋から明かりが消え暗闇になる。 が、直ぐにアイラは枕元に置いた自分のスマホを点けた。
鈍い明かりがアイラの真剣な表情を照らす。
「首の女性に聞けば良いのよ!「誰に殺されたのか」を!そうすれば直ぐに犯人も捕まえられる!!」
「言っただろ「事件と関係あるか分からない」って」
「アルフィーに被害者の写真を見てもらえば直ぐ分かるでしょ!『同一人物』かどうか」
「仮に犯人が分かったとして証拠は?どうやって突き止めた事を説明するんだ?」
「それは……」
自信満々だったアイラの表情は一瞬で曇った。
「まさか「殺された被害者の霊に聞きました」なんて証言できないだろ……俺の首が警部にハネられる」
「でも、万が一それでまた被害者が出たら……」
「出さないためにも、非番と休みを返上して明日も捜査だ。もう寝よう、おやすみ!」
ジャックはアイラに背を向け眠りに着く準備に入った。
「ふん……そうね、法律の事もあるし警察に任せた方が良さそうね……おやすみなさい」
アイラも納得し布団を被った、直後ジャックのスマホが鳴る。
「!?」
「悪い!」
ジャックが慌てて電話に出た。
「もしもし」
『悪い知らせだジャック!』
掛けてきたのはオリバーだった。
着替えながら電話しているためか、服の擦れる音と声が忙しなかった。
『また女性の首が発見されたッ今度は手首も見つかってるッ』
「!?」
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