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2件目
「分かった直ぐに向かう」
それだけ伝えると電話を切った。
「……呼ばれたの?」
アイラの不安な表情がスマホの明かりに照らされる。
「ああ、行かないとだ」
「そう、気を付けて……」
ベッドから降りたアイラはスタンドライトを点けた。ジャックもスエットからスーツに着替えてゆく。
「さっきの嬢ちゃんの話しだが……」
「?」
「まぁ……試してみるのもアリかもな……」
「!?」
「もし明日予定が空いたら連絡をくれ、時間は何時でも良い」
「それって!」
ジャックは苦笑いを溢し……
「『ゴーストネゴシエータ』出動だな」
アイラの提案に乗った。
翌日 3:05 PM 車中
二人目の被害者の初動調査を終えたジャックは、助手席にオリバーを乗せ昨日行ったばかりの宝石店に再び向かっていた。
オリバーが被害者の写真を見詰めながら顔を歪める。
「二人目の被害者も『同じ宝石店で指輪を買っていた』って、その店に恨みがある者の犯行か?」
「もしくは客を狙った強盗か、後は快楽殺人の可能性もあるな」
オリバーの推察にジャックも推察で返す。
「一人目の被害者の彼氏が怪しいと踏んでたんだがな~」
「警察が完全にマークしてた中での二人目の犯行だ……アリバイもあったし限りなく白だな」
写真を数枚見詰めていくオリバーは、犯人に対する怒りと呆れから大きく息を吐いた。
「さっさと捕まえて牢屋にぶち込まないとッこれ以上女性が殺されるなんて堪えられない……」
「そこは『女性以外も堪えられない』でいろよ」
ジャックのツッコミが入ったところで、車はモールに到着した。
宝石店へ着くなり、昨日も会った男性店員に事情を説明するジャック。
話しを聞いた店員の表情は顔面蒼白になっていく。
「そんなッ何故うちの店のお客様ばかりッ!!」
「それを知るためにも、被害者の確認をお願いしたい」
ジャックが写真を出した瞬間……
「ヅ!?」
何かに痛いほど強く肩を掴まれた。
『誰かに』ではなく『何かに』だった。
驚き振り返ったジャックは更に目を見開いた。
そこには、血塗れで巨大な剪定バサミを持った首無しのマネキンが立っていたのだ。
「グヴッ!!」
マネキンの片手がジャックの首を掴んできた。
首を締めてくるマネキンの手を振りほどこうと、その手首を両手で掴むとバキッと音を立てマネキンの手首は折れた。
しかし折れた手首はジャックの首に残り、力を緩めることなく未だ首を絞め続けてくる。
「ッ……よせッ……」
その間にマネキンは開いたハサミをジャックの首に掛けてきた。
「よせッッ……やめろッ!!」
声を張り上げた瞬間……
――バチンッ
ハサミが閉じられた。
「ぁあああッ!!」
「ック…………ジャックッ!!」
気が付けば、困惑したオリバーが見下ろしていた。
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