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手は公園から離れて行くと、軽快に町の中を進んで行った。 その後ろをついて歩く三人。 途中横断歩道で赤信号に引っかかる。 三人と一手はお行儀良く横並びで待ち、青に変わるとまた手を先頭に歩み進めた。 明かりが増えた町中を黙々と歩き続けていたが、ある建物の前まで来ると手は進みを止めた。 三人も止まって目の前の建物を見上げる。 「ここって……ショッピングモールね」 アイラが呟く中、ジャックは眉をひそめた。 そこは事件の被害者が宝石を買い、オリバーと共に調査へも行っていたショッピングモールだったからだ。 閉店作業中か、店内の照明がまばらに消え始める。 「やっぱり此処には『何かある』って事か……」 「どう言う事?」 『何か知ってるであろう』ジャックにアイラが質問する。 「刑事として話せない、っと言いた所だがゴーストネゴシエターで調査するからには知っておいた方が良いよな……」 ジャックが「絶対誰にも言うなよ!」と念を押すと、二人は笑顔で力強く頷いた。 「首切り事件の被害者二人が、このモールの宝石店で別々に買い物をしていたんだ。その数日後に二人共殺されてる」 「!?」 「!?」 「そして『何かを伝えたい』かのように手に導かれた……犯人がモール内にいるのか、または被害者の見つかっていない体があるのか……」 「首の女性が教えてくれたら直ぐに真相が分かると思ったけど……簡単にはいかなそうね」 ジャックとアイラが話す間、アルフィーは地面を見て驚いた。 「あれ?……手がいなくなってるよ!」 「被害者の前でこんな話しは不謹慎だったな……」 「悪い事した」ジャックが眉を下げるのに合わせるかの様に店内の照明が全て消された。 直後、分厚い鍵束を持ったスーツ姿の女性が正面入り口を閉めようとしている。 「行こう」 「ちょっと!?」 「神父様!」 ジャックは足早に女性へ近づいて行く。 「失礼、警察です」 女性にバッチを見せる。 「警察……何か?」 「実は『ハサミを持った怪しい奴が店内に入って行くのを見た』と、この二人から通報を受けまして……」 「え!?」 「え!?」 ジャックはアイラとアルフィーの背中を押して前へ出した。二人は不意な設定と状況に激しく動揺する。 通報内容に女性は顔をしかめた。 「ホントに?……でも、全て見回りしてる筈だし……何も聞いてないけど」 「ええ、ですが何処かに忍んでいる可能性もある……首切り事件はご存じで?」 ジャックの質問に女性の表情は恐怖に変わり何度も頷いた。 「そう言う事です。後はこちらにお任せを」 ジャックは女性からさりげなく鍵束を取ると、笑顔で女性の帰りを促した。 女性は戸惑いながらも、その場に居られないような空気に負け立ち去って行く。 ジャックは涼しい顔で鍵束のリングに指を入れ回すとアイラとアルフィーを見た。 「調査開始だな」 「…………」 「…………」 そんな彼を二人はジト目で見詰める。 立ち去った彼女は自分の車に乗ると、数秒思案を巡らせた後スマホを取った。 「もしもし警察ですか?ちょっと確認してもらいたい事があって、いま『刑事』を名乗る男が女性と男の子を連れて来て……いえ名前は聞いてないの」 女性はジャックを疑っていた。 『本物の刑事なのかどうか』警察に確認の電話を入れているのだ。 「うちのショッピングモールに『ハサミを持った奴が入って行った』って通報があったらしいの……ええ」 更に通報履歴も確認してもらう。 数分待って…… 「通報は無い!?でも……じゃ、さっきのは……ええお願い直ぐに来てもらえると助かるわ!」 ジャックの嘘がバレた。 嘘だと分かると警官が来る事になった。 女性は通話を切ると、不安混じりのため息を吐いた。
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