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落下物
11:44 PM
曇ってはいるものの日差しは強かった。
夏の公園、アルフィーは一人ベンチに座り友達の猫達と近況報告の真っ最中だ。
「この前、神父様が僕の中にいる悪魔に接触しようとしたんだ」
最近は友達の輪も更に広がり、野良猫に限らず、首輪を付けた飼い猫までもがいた。
「だけど悪魔は何にも反応してこなかった……全くなんにも」
「ニォ――……」
「ヌゥ――!?」
「ニ~」
猫達の反応は様々だったが大体が『なんだって――!?』そんな感じだ。
そんな中、まずは一匹の猫が何かを察知し固まった。視線は誰も居ない道路の先。
続くようにその場にいる猫達全員が同じ方向を見詰めた。
「?……どうしたの皆……」
猫達の不穏な様子にアルフィーも恐々道路の先を見詰める。
しかし特に変わった様子は無い。
「……何もいないよ」
先を見詰めるアルフィーの顔に生温い嫌な風が吹き付けた……
「ニォ――!!」
瞬間、猫達全員が一目散にその場から逃げ出した。
「え!『逃げろ』って何からッ!?」
アルフィーはベンチから立ち上がり、去って行く猫達を視線で追う。
猫の言葉が解るアルフィーにも『何が起きているのか』までは把握出来なかった。
だが直後アルフィーにも嫌な気配と耳鳴りが襲う。再び猫達が見詰めていた道路の先を振り返った。
「…………何かいるのッ?」
「ねぇ!」と猫達の去った方角をもう一度向いた瞬間……
――ボトンッ
「!?」
アルフィーの頭上付近から足元に何かが落ちてきた。
急な落下物に驚きながらも『何が落ちたのか』と足元を確認するアルフィーに……
『私のジュエリー知らない?』
首だけの女性が尋ねてきた。
足元に転がっていたのは女性の生首。
その女性の視線はしっかりとアルフィーの眼を捉えていた。
「ぅああああああああああ――!?」
誰も居ない公園に絶叫が響き渡る。
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