17.不倫疑惑

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「わりぃ。だってさ、おまえいまはけっこう背丈あるけど、身長が伸びるの、俺たち三人の中で一番遅かっただろ。しかもチビなのに気が強いしさ。つい懐かしくなって。いつもそうやって怒っても内側に溜め込んで、いざというときの爆発力ハンパねえから。そんなおまえを怖く感じると、『チビだからできっこない、やめておけ』って制御したくなるんだよ」  これでもおまえが怒っていることもわかっているし、また噂のやり玉にあげられて、実際のところ心を傷めていることも俺はわかってるぞ――と言ってくれているのだ。 「もう……兄貴。抱きつきたくなったけど……。親友の夫だからやめておくね」 「やめろよな! ただでさえ、おまえを使った変な噂を流されているのに。俺とおまえは、兄貴と妹分ってだけだからな」 「わかってるよ~。親友が愛する大事な男だから、私だって変な虫がつかないように見張ってやってるんだよ?」 「変な虫がつきそうになっても、俺から払い除けるから余計な世話だっつーの!」  大河が陽葵をどれだけ愛していて、幼馴染みから女性として見るようになって、ときめいて恋をして……。兄貴の彼が、親友の彼女を大事にしてきたことを知っているからこそのジョーク合戦だった。乃愛だってそんな二人が大事だ。バディの彼を絶対に死なせたくないし、絶対に親友のもとに連れて帰ると誓っている。  大河もほどよい筋肉ボディの男で背も高くスタイルもいい。乃愛と一緒でスイマーだし、マリンスポーツを好むから、日に焼けたイケメン兄貴で、浜辺でサーフィンをしていると女性が寄ってくることもある。浜辺でそんな大河を知った女性が、こちらも既婚者なのに狙われていることもある。  そして大河を狙ってくる女を威嚇する役目も、乃愛がかってでている。
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