3.水へ飛ぶ

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「DC第二小隊長だな」 「はい、宇品と申します」 「剣崎に任せても大丈夫だな」 「彼女はハイダイビング競技の経験者でもあります」  金髪艦長の青い眼の視線が、乃愛へと突き刺さる。 「責任は艦長の自分が持つ。頼む、行ってくれ」  ウィラード艦長の一声に、また周囲にいるパイロットたちがざわついた。  特に戸塚中佐が顔色を変えて、ウィラード艦長に食ってかかった。 「准将、待ってください。ここから、彼女を!? 甲板レベル1から!? この高さで!?」  ウィラード艦長は戸塚中佐の叫びを無視するようにして、応えなかった。  そんな戸塚中佐の背後にいる『御園先輩』と乃愛の目線が合った。  彼も琥珀色の眼を見開いて、乃愛を見つめながら呟いた。 「スナイダーさん、女性隊員を行かせるんですか」 『先輩』も、そんな無茶な――と言わんばかりの驚き顔を見せている。  御園の御曹司に問われても、さすがの准将、艦長殿は落ち着いていた。  そんなパイロットたちに、ウィラード艦長が呟き返す。 「そうだ。俺たち防衛パイロットは空へと飛ぶが、DC隊は火の中、水へも飛び込む」  ウィラード艦長の指令が乃愛へと告げられる。 「一刻を争う。剣崎少尉、頼んだぞ」 「ラジャー、キャプテン!!」  ゴーグルを再度目元に固定し、乃愛は左舷キャットウォークに立つ。
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