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「きな臭いよな。まあ、ウィラード艦長は御園一派の将官だから標的にされたのかもしれないけど」
軍の中で強い派閥である『御園一派』。
海人先輩の一族『御園家』は親族に軍関係者が多いだけでなく、軍人関係者との横繋がりも強く結束が固いと言われている。故に敵対派閥と水面下で衝突することもよくあると言われている。
今回もスナイダー=ウィラード准将が、御園一派の将官のために貶められたのではないかと大河は言いたいのだろう。
「だから。おまえのせいじゃないからな。気にするな」
バディ大河の気遣いを知り、乃愛の心を苦しく縛っていたものがふっとゆるんだ。
別に。厄女だなんて自分は思っていない。艦でちょっとしたトラブルは日常茶飯事、それを小さなことでも打ち消していくのが乗員の仕事だ。DC隊に限らない。警備隊もそうだし、救急隊も、さらには整備士だって。艦の各セクションを任されている全てのクルーが艦を護っているのだ。
でも。だからって。『御園のせい』とも言いたくない。
自分の厄を、他者へなすりつけたくもない。
乃愛の脳裏に、ハイスクール時代よりずっと大人の男になっていた『先輩』と目が合った瞬間が蘇っていた。
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