5.ダイビングガールちゃん

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 昨夜は深夜帯の艦内巡回も行ったため、帰宅したらシャワーを浴びて仮眠をする。夕方に目が覚めたら『とばしに行くか』。心が躍り始める。 「新品のあれ、はやく出したかったんだよね~」  艦を下りたら、ただのアラサー女子。お一人様だけれどまったく平気。寂しければ一緒にいてくれる幼馴染みもいるし、そうでなければ乃愛には乃愛の楽しみがたくさんある。  うきうきして自宅へと辿りついた。  計画通りにまずはシャワーを浴びて、好きな香りを肌につけて薄着でベッドにダイブした。  ひとまず、おやすみなさい……。  午前で空が明るい時間だが、カーテンを半分だけしめると、ベッドルームは柔らかな陽射しに包まれる。こんなシフト制で不規則な生活も、艦乗りとして慣れている。すぐに微睡みがやってきた。  汗を落としたさっぱりとした肌、装備を付けていない開放感あふれる薄着、好きな香り。耳に心地よいさざ波。海辺の住宅地は静かで、優しいそよ風と葉ずれの音……。窓辺には赤い百日紅(サルスベリ)が揺れている。この住宅地のあちこちに植えられていて、どこの家からも見える花――。乃愛は深い眠りに落ちていく。  目が覚めたら、傾き始めた陽射しで海がきらきらと輝いている。もう少しすれば空が黄金色になって夕の茜に変わっていくだろう。  ああよく寝た――と乃愛はベッドで伸びをして、寝汗を落とすために再度シャワーを浴びて身支度をする。  ふわっとした白いシャツに、黒いジョガーパンツでシンプルにまとめる。
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