5.ダイビングガールちゃん

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 日没を少し前にしてカフェの駐車場に到着する。  今日はなにを食べようかなとメニューをあれこれ思い浮かべながら、RX7を駐車させた。  エンジンを切ってキーを抜こうとしたところで、目の前を真っ赤なトヨタ車が過ぎっていった。  乃愛のセブンに負けず劣らずの親世代のスポーツカーが現れたので目を奪われた。  セブンの前を過ぎて、あちらの車も数台向こうのスペースに駐車を終えたようだ。  うわ。あちらもおなじ時代のスポーツカーなのに、ピカピカにしていて状態が良さそう。これは大事に乗っているな――と乃愛は釘付けになりつつ、運転手『オーナーさん』はどんな人物なのかと思いながら、運転席を降りてロックをかける。  雑誌を入れているトートバッグを肩にかけ、お気に入りのサンダルで一歩踏み出し、さりげなくトヨタ車オーナーさんへと視線を馳せた。  だがあちらも車を降りてすぐに、こちらへと視線を向けている。  栗毛の若い男性だった。これぐらいのスポーツカーだと『オジサン』が定番なのに。すっとしたスタイルで上品なお顔の男性……。『先輩』……?  あちらの彼も乃愛と視線が合って、とんでもなく驚いた顔を見せている。しかも乃愛を指さして叫んだ。 「ダイビングガールちゃん、だよね? え、それ、君の車!?」  まさかの『先輩』、御園海人少佐だった。  乃愛はもう目が点になっていて言葉を失った。  真っ赤なトヨタ車に乗っていた品の良い男性が、御園先輩!  しかも『ダイビングガール』とはなんですか??
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