1814人が本棚に入れています
本棚に追加
日没を少し前にしてカフェの駐車場に到着する。
今日はなにを食べようかなとメニューをあれこれ思い浮かべながら、RX7を駐車させた。
エンジンを切ってキーを抜こうとしたところで、目の前を真っ赤なトヨタ車が過ぎっていった。
乃愛のセブンに負けず劣らずの親世代のスポーツカーが現れたので目を奪われた。
セブンの前を過ぎて、あちらの車も数台向こうのスペースに駐車を終えたようだ。
うわ。あちらもおなじ時代のスポーツカーなのに、ピカピカにしていて状態が良さそう。これは大事に乗っているな――と乃愛は釘付けになりつつ、運転手『オーナーさん』はどんな人物なのかと思いながら、運転席を降りてロックをかける。
雑誌を入れているトートバッグを肩にかけ、お気に入りのサンダルで一歩踏み出し、さりげなくトヨタ車オーナーさんへと視線を馳せた。
だがあちらも車を降りてすぐに、こちらへと視線を向けている。
栗毛の若い男性だった。これぐらいのスポーツカーだと『オジサン』が定番なのに。すっとしたスタイルで上品なお顔の男性……。『先輩』……?
あちらの彼も乃愛と視線が合って、とんでもなく驚いた顔を見せている。しかも乃愛を指さして叫んだ。
「ダイビングガールちゃん、だよね? え、それ、君の車!?」
まさかの『先輩』、御園海人少佐だった。
乃愛はもう目が点になっていて言葉を失った。
真っ赤なトヨタ車に乗っていた品の良い男性が、御園先輩!
しかも『ダイビングガールちゃん』とはなんですか??
最初のコメントを投稿しよう!