7.おなじ気もち

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 なかなかに『女性優位になるよう教育されている?』と感じるのだけれど、自然な行動で嫌味もない。彼のそばにいる女性たちは、いつもこんなふうに大事にされているのかなと思うほどだった。  窓辺にはマジックアワーを迎えたビーチが見える。この店も駐車場のむこうはビーチがあり、サーファーたちが帰り支度を始めている姿がちらほら見える。旧島より発展しているとはいえ、やはり、小笠原の雰囲気はそっくりなまま。ここに進出したこの店もだった。  旧島では昔ながらのスタイルで、ガラスケースに並んだ惣菜をチョイスしてワンディッシュに盛ってもらうスタイルだった。  新島に進出したこの店もワンディッシュスタイルはおなじだが、すでに決められた惣菜が盛られているものがテーブルまで運ばれてくるセットオーダースタイル。それにお好みの惣菜を単品でプラスすることができる。  テーブルに置かれたドリンクメニューを、御園先輩と一緒に眺める。 「俺、ここの店。子供のときからライムソーダなんだよね」 「私も決まっています。旧島の『Be My Light』の時から、クランベリー・レモンソーダです」 「また同じだ! あの島で子供時代を過ごしたら、お気に入りドリンク決まってくるよな。何歳から旧島に? お父さんの転属で来たんだよね」 「その前は岩国基地にいたんですけれど、日本でいうところの中学生二年生ぐらいでこちらに来ました。そこからキャンプのインターナショナルスクール通いです」 「それで、剣崎少尉もお父さんの後を追ってDC隊員に?」  父の話があまりにも自然に出てきたので、乃愛は戸惑う。  どこまで知っている? いや、高官に囲まれて暮らしている先輩だからもう知っている? 乃愛がそこを探っている様子も読み取られたようだった。
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