1.幼馴染みバディ

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「コンパスOK、ハーネスOK」 「タイムウォッチOK、深水計OK……」  装備チェックを終え、いざ巡回へと向かう。 「俺たちはフライトデッキから階下へ巡回する」 「ラジャー、中尉」  そこは上官として乃愛は大河に敬礼をする。  いつもより艦内はざわついている。  今日は軍内関係者のために『式典前の事前見学』が設けられている日だった。 「今日は小笠原基地の飛行隊が見学に来るんだってさ。教育隊のアグレスのサラマンダー飛行隊、あと機動追跡飛行隊のジェイブルーもだったかな。飛行隊長が主だったパイロットを引き連れてくるんだと。新艦長が現役時代に雷神パイロット、操縦引退後はサラマンダーの部隊長を歴任していただろ。顔見知りばっかりくるらしくて、はりきってるらしいぞ」 「そっかー。昔馴染みの空部隊仲間がやってくるってことね」 「だから。フライトデッキに今日は人が集まるってこと。そんで、新艦長から親しい隊員たちを迎えるから落ち度がないようにと、クルーたちもちょっとピリッとしてんだってさ」  DC隊の艦内部隊室から出た乃愛と大河は、『お出迎え準備』に駆け回るクルーたちの喧噪をくぐり抜けるようにして、艦内から外通路へと出た。潮風があたるその場所から、鉄階段を使って船体上部のフライトデッキへと向かう。 「親父さん、最近、どうなんだよ」 「べつに。かわらないよ。ぼさっとした生活をして、たまに漁の手伝いで日銭稼いで、海辺でぼうっと釣りをしている」 「そっか……。でもさ、漁に出る元気は出てきたってことだよな」 「そうだけどさ……。いや、もう、お母さんがなにも言わないなら、それでいいよ」  軍人を辞めてからの父はそんな生活をしている。
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