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品が良いお顔で、気遣いも抜群、女性優位で優しく爽やかに扱ってくれるこんな男性。モテないはずないし、これは、誰でも彼に寄ってくる! この人、御曹司ってだけでちやほやされているわけじゃない。対面して会話を交わしても、心地よさを相手に与えてくれるんだと初めて知ったのだ。
下手な男の褒め言葉なら『ま、おつきあいを円滑にするためのお世辞だよね』と本気にせずに受け流すのだが、先輩の口からでる褒め言葉はナチュラルすぎて本気としか思えない。なになに、やっぱり貴公子な先輩は、そうしてなんでも自然にできるように育てられているの? 『お育ちの良さ』を目の当たりにした気分。こんな男性初めてだと、乃愛の心の中は初めての感覚ばかりでずっと大騒ぎしている。
そうして乃愛が、ひとり心の内だけで大騒ぎをしていても、御園先輩は沈黙の間なども決して作りはしない。爽やか笑顔で、どんどんと話題を振ってくる。
「なにか好きなものがあって、仕事を頑張れるっていいことだよね。ブランドの靴以外も集めてるの?」
「スポーツシューズも大好きです」
「へえ! 今度、どんな靴が履きやすいか教えて欲しいな」
「先輩は、仕事以外の好きなこと、あるんですか」
「俺? んー、料理とオタクっぽいいろいろ」
オタク? 似合わないワードが貴公子なお姿から出てきたので、乃愛は眉をひそめる。
「オタクって。いろいろありますよね。どんなオタクなんですか」
「叔父が作ってくれたソフトで、飛行機のCGを作ったりするんだ」
思った以上にインドアな趣味で、乃愛は戸惑う。もっと『パリピ』だと思っていたからだ。実際に、御園先輩は見かければいつだって誰かに囲まれている。スクール時代からだ。
「イメージと違ってびっくりです」
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