1832人が本棚に入れています
本棚に追加
9.生意気サニー君
ニヒルな笑みを浮かべた金髪のオジサマが、御園先輩と乃愛が食事をしているテーブルに割り込んできた。
しかも、親しくしているであろう海人先輩が女性と一緒にいるので、からかいたいのかずっとニヤニヤしている。
「なあなあ、海人。どうして彼女と一緒なんだよ~。おまえ、女といったら藍子としかいないじゃないかよ。シスコンな姉ちゃん子だったんじゃないのか~」
シスコン? 姉ちゃん子? また乃愛は眉をひそめる。
アイアイこと戸塚藍子少佐は搭乗相棒でペアだから、親しくしているのは当然として、年上の女性にそこまで懐いているという表現なのだろうか? らしくない先輩のイメージがまた飛び出してきたが、乃愛は聞き流した。
先輩はそんなことを言われても、つっこみをしてくるオジサマに、めんどくさそうなため息を吐いている。
「そこでたまたま出会ったんだよ。旧島に帰る前にここで食事をしようとしたら、ハイダイビングの彼女と遭遇したから。昨日、俺もフライトデッキにいたじゃんか。すげえダイブを目の当たりにしたひとりなんだよ。しかも彼女、往年のスポーツカーに乗ってるし、話してみたら、俺と同じ時期に旧島のインターナショナルスクールに通っていたんだよ」
「ああ、なるほど。同世代で同校卒業生だったということか。そういえば、そうだな」
フランク大佐のニヒルな笑みが、正面で食事をしてた乃愛にも差し向けられる。
「DC隊の剣崎か。なるほど。昨日のあれ、海人もそこにいたってことか」
この方もエリート隊員で、高官親族がたくさん周りにいる。戦闘系警備を司る部署にもいるので、昨日の空母落水事件はすでに知っていることだろう。
そこも踏まえて、この大佐はなにもかもお見通しのようだと乃愛は悟る。
最初のコメントを投稿しよう!