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部隊長の言葉にやっと上官雑談から解放されるよと、乃愛と大河は揃って『イエッサー』と敬礼をする。
最後に、雑談を聞いていただけだが、そこで知ったことだからと、乃愛と大河は戸塚中佐にお祝いの言葉も伝えておく。
「第二子のお子様、奥様のご懐妊、おめでとうございます」
「ご無事に出産できますように。おめでとうございます」
見送りためにと、一度パイプ椅子に座っていたサラマンダーのおふたりも再度立ち上がってくれる。
「剣崎少尉、杉谷中尉。ありがとう。妻にも伝えておきます。君たちのことも同様に、無事の職務遂行を祈っているよ」
「再度、サラマンダー飛行隊部隊長の自分からも礼を。このたびの迅速な対処と救助にて、こちらパイロットを救ってくれたことに感謝をする」
戸塚中佐と柳田大佐が敬礼をしてくれたので、乃愛と大河もそろって背筋を伸ばして敬礼を返した。
長門部隊長から『下がってよい』と退室を促され、ふたりは外通路へと出る。
艦内通路に出た乃愛と大河は、本日の持ち場に戻ろうと歩き出す。
「へえ、美しすぎるオジサマは、岩国で奥さんとデートしていたんか~」
「そういえば、アイアイさんは岩国のジェイブルーにいたんだっけ」
「宮島、懐かしいな」
「夏休みに三人だけで行きたいと騒いで、親たちに怒られたね」
「そうそう! そんで、母親たちが付き添いでついてくることになって、おかんたちのほうが喋りまくっていてうるせえの」
「あはは、そうだった、そうだった!」
「あなご飯、食べて~」
「私は、揚げもみじ、食べたい~」
岩国で過ごした小学生時代を思い出して、幼馴染みと笑い合っていた。
気兼ねない会話をしていた幼馴染み同士の背後、そこから男の声が加わってきた。
「俺はあなご飯に一票だな」
その声に振りかえると、濃紺のフライトスーツ姿の戸塚中佐だった。
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