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「だから。食事をしていたら、海人先輩を見つけたフランク大佐が近寄ってきたわけ。だってフランク大佐と御園家は親戚みたいに親しくしているのでしょう。ほんとうに、歳が離れている兄貴と弟分みたいな気易さだったの。そこでフランク大佐とも話しただけだよ」
また大河が夜道を歩きながらも、乃愛を見下ろして呆気にとられている。
「おまえ、マジでなんか引き寄せてるだろ。御園先輩とフランク大佐にいっぺんに遭遇するなんてどんな確率だよ」
「知らないよ。私だってびっくりしたんだからさ。しかも、御園のお父様が趣味で始めたキャンプにおいでって誘われてる。大河、その時は一緒に来てよ~」
「み、御園元准将……御園の親父さんとキャンプ!? なんでそんな御園のご主人様みたいな人と会わなくちゃいけなんだよ。俺は勘弁!」
さらに大河がなにかに気がついたようで、顔が青ざめていく。
「御園に、フランク大佐に、戸塚中佐とか、すんごいことになってねえか」
「あ、ほんとだ。んー、でも、あの事件のおかげとか言えないなあ……」
飛び込んだ日から世界が変わったように、名が知れている人々と繋がりが持てるようになっている。
でもそれは。乃愛が『厄』を引き寄せて得た幸運?
酷い目に遭った三原少佐を踏み台にしているようで、素直に喜べない自分がいた。
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