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「右舷側は、宇品小隊長のバディだな」
乃愛と大河が歩いている反対側、そのむこうに直属の上官ふたりがキャットウォーク沿いを歩いているのが見えた。おなじ装備で歩いている。火気がないか、破損はないか、修繕が必要な場所がないかなどを点検していく。
「なんか、フライトデッキ。人が増えてきた。旧島のパイロットが来ているからか?」
「カタパルトも電磁の新型だってね。それが気になるんじゃないかな」
昔馴染みのパイロットたちが、カタパルトにセットされている戦闘機の翼の下でたむろして賑やかな中、ふたりは艦の端、キャットウォーク沿いを歩きながら警備する。
キャットウォークは甲板の端にある通路であり、各種装備を設置もしている。落下を防止するための金網柵があるが、柵の向こうにワイヤーなどを巻いている大型ウィンチなどがある。甲板要員がそこに立って操作したり、通信のためにその場所に入ることもある。
その柵にそって左舷側をバディのふたりは歩いていた。
船首近く。カタパルトが途切れるあたり、そこから向こうは戦闘機が機首を上げて離艦する位置にあたる。そのせいなのか、濃紺のフライトスーツを着ている男性隊員がそこから船首へと海原を眺めている立ち姿が見えた。
その光景はべつに目に付くものでもなく、新型艦船を見学にきたパイロットというだけのものだった。アグレッサー飛行部隊の男性パイロットの目の前には、キャットウォークとフライトデッキを区切っている安全柵。いま乃愛と大河が柵に沿って歩いている尖端になる。
その船首、安全柵からキャットウォークへと侵入するために扉式になっている箇所がある。そのフェンスを開けて立っている甲板要員がいた。
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