16.男たちの助言

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 雨上がりのアスファルトにマリーナ地区のお洒落な街灯の光が反射している。  こちらはお馴染みの椰子の木や蘇鉄の木、百日紅などのほかに、バラの垣根が目立つところが多い。ほかにもブーゲンビリアと色鮮やかな花木も目に付く。雨上がりで、また路地に人々が出始め、観光で賑わう夜のマリーナは潮の香りに包まれて華やかだった。  高級感あるカフェにレストラン、そして乃愛がよく行くハイブランドショップの通り、街中を過ぎてもお洒落なマンションが海辺に並ぶ。その向こうにはヨットやクルーザーを停泊しているマリーナが見える。  このあたりに御園先輩のご両親がお住まいなのかなと、乃愛は車窓から緑に囲まれている高級そうなマンション群を見上げた。  雨上がりだけれど、霞んでいる空にぼんやりと朧月が出ていた。  ほんのりとした月明かりだけが、マリーナ地区を抜けた乃愛を包み込み、丸い月が寄り添うように付いてくる。  また月明かりだけの海岸線をRX7で走り抜ける。  乃愛は実家へ向かう。  自分が住んでいる独身者用の平屋住宅地より手前にある初期に出来た軍人住宅地へ。  この新島に東南防衛司令部が出来たころに集まった軍人のために出来た軍人借家タウン。そこに両親が住んでいる。  乃愛が独立したので、こちらも夫婦二人住まいだからと少し広めのファミリータイプの平屋に住んでいる。  実家がある路地にきて、玄関前まで。  乃愛がいつ来てもいいようにと、庭先にカーポートは二台つくってくれていた。  いまは父が好んで乗っているSUV車が片方に駐車されているので、乃愛はその隣にRX7を駐車する。
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