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いつも一緒にサーフィンに行ったり、競泳用のプールがあるスイミングセンターでハイダイビングを教わったり。豪快快活な父の笑顔を思い出すと泣きたくなる姿だ。胸の奥が軋んで痛みを覚えるし、泣きたくなるから会いたくなくなる。出航前は気が重くなる。でも会っておかねば、なにかあった時に後悔するかもしれない。
御園先輩が『いつもと同じ状態で帰ってくるとは限らない』と教えてくれたことも、フランク大佐が『たまには顔を見せておけ』と背中を押してくれたことも、なによりも今日、戸塚中佐が『どんな状態でも娘を一心に愛しているはずだ』と確信できる言葉を刻み込んでくれたから――。だから気持ちが急くままに会いに来た。
でも父はやっぱり今日も変わらない。無言――。もう帰ろう、いつもどおりだ。乃愛が踵を返した時。
「その艦にシドは乗るのか? 乗るのだとしたら、部隊長の長門とシドの言うことはよく聞いておけ」
思わぬ言葉が出てきて、乃愛は驚愕して帰ろうとしていた足が止まる。踵を返して背を向けていた乃愛だったが、父へとそっと振りかえるも返事もできなかった。
背中を向けたまま顔も見せてくれない父が、言葉も返してくれなかった父が……。気をつけて行けなんてありきたりじゃない言葉を発した。
しかも父もフランク大佐のことをよく知っている素振りを見せた。
「お父さん、フランク大佐、シドさんと親しかったの?」
「何度も同じ艦に乗っている。信頼に値する男だ。ふざけたふりは見せかけだ。困ったことがあればまずは部隊長、そして、いざというときは警備隊長を頼れ。それだけだ。気をつけて行け」
何故!? 今回に限って『この男を頼れ』なんて教えてくれるの?
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