16.男たちの助言

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 そして父はフランク大佐のことを『シド』と親しげに呼んだ。大佐も『透』と呼んでいた。業務内容が近しい部署だったので、親しくしていたのか。その父が『信頼できる』というのならば、そうなのだろう。長門中佐に匹敵する信頼度だということが伝わってきた。  変な事件があったばかりだ。  出航前だが、艦内もざわついている。  父からの進言は心得ておこうと乃愛は胸に刻んだ。  でも徐々に心の奥から熱いものが込み上げてくる。  お父さんが、喋ってくれた――。もうそれだけで……。  乃愛は再び、目頭を熱くしながらの運転で帰路につく。  そのまま非番を終えて艦に戻る日を迎えた。  父が助言をしてくれたのは予兆だったのか。  その数日後、艦内にシフト業務に戻ったときだった。  どうしてなのか。乃愛と戸塚中佐が『不倫をしている』という噂が流れていた。
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