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そして父はフランク大佐のことを『シド』と親しげに呼んだ。大佐も『透』と呼んでいた。業務内容が近しい部署だったので、親しくしていたのか。その父が『信頼できる』というのならば、そうなのだろう。長門中佐に匹敵する信頼度だということが伝わってきた。
変な事件があったばかりだ。
出航前だが、艦内もざわついている。
父からの進言は心得ておこうと乃愛は胸に刻んだ。
でも徐々に心の奥から熱いものが込み上げてくる。
お父さんが、喋ってくれた――。もうそれだけで……。
乃愛は再び、目頭を熱くしながらの運転で帰路につく。
そのまま非番を終えて艦に戻る日を迎えた。
父が助言をしてくれたのは予兆だったのか。
その数日後、艦内にシフト業務に戻ったときだった。
どうしてなのか。乃愛と戸塚中佐が『不倫をしている』という噂が流れていた。
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