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「ひなたがいなくなって、ママがずっと泣いてて、私も寂しくて…二人でくっついて寝てたよね。それから数年経ったら、私も具合悪くなっちゃって…ママのこと、すごく不安にさせちゃった。何とか元気になりたかったけど…無理で」
無意識に「るな」から「私」に切り替わってしまっていることに、るなは気がついていないようだ。
「ママは最期まで私を撫でて、大好きって言ってくれて…嬉しかった。私もママが大好き。本当はずっと側にいたいよって言いたかった」
ズビズビと鼻をすすりながら泣くるなに、そっとティッシュをママが渡す。
そんなママも泣いていた。
るなに代わって、俺も話をし始めた。
「ひなたも、最期まで幸せでした。ひなたは…あなたの前の飼い主はキライだったけど、ママ…優海さんと出会えて、人の優しさや愛情をいっぱい知った。るなとじゃれ合って物を落としたり、オモチャ壊したりして迷惑もかけたけど…優海さんはいつでも優しかった」
俺の目からもツーッと涙が流れ落ちた。
「誕生日に買ってくれた黄色の首輪、音のなるオモチャ、ママが使ってたブランケット…どれも大好きだったな。でも散歩の時だけもらえるオヤツ、本当はもっと食べたかったなぁ…」
そう言うと、泣いていたママが「ふふっ」と笑顔になった。
「ママの笑顔が一番好きだよ。その優しい声も」
初めて会う3人が一緒に泣く光景は、どれほど異様だっただろうか。
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