あの子は誰?

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約束した時刻、大学から少し歩いた先の公園に俺はいた。 周りには遊具で遊ぶ子どもとそれを見守る母親、散歩中の飼い主と犬がいるくらいで、人通りは多くない。 「ひなた!」 突然の声に驚いた。 俺はベンチに座り、ぼーっと足元を見ていて彼女が近くに来たことに気がつかなかった。 長い艷やかな黒髪が風になびく。 小さな顔にちょっとつり上がった大きな目が印象的だった。 またこの子、俺のことを「ひなた」って呼んでる…。 「あの〜、今朝から思ってたんだけどさ、人違いじゃない? 俺、名前陽介だし…」 そう言うと、彼女は「あぁ」と笑って自分を指さした。 「私は、るな。でも今の名前は菜月だよ」 「ん? 今の名前…? どういうこと?」 るな、こと菜月は長めのため息をついた。 「ひなたは…まだ思い出せてないんだね」 俺は何の話をされているのか、この子と俺は何の関係があるのか、さっぱり検討もつかなかった。 菜月は「いちから説明するね!」といい、隣りに座った。
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