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るなとボク
その夜、俺はまた昔の夢を見た。
ママの帰りをボクは待っていた。
外は雨。
ママ、遅いな…。
いつもなら帰ってきてる時間なのに…。
あ! ママの足音が近づいてきてる…!
やった! ママ! あれ…? なんか知らない声がするぞ?
「ミャオ! ミャオ!」
「大丈夫、ほらお家に着いたよ」
ママの声と知らない生き物の鳴き声。
ママはずぶ濡れのそいつをタオルで優しく包みながら、ボクに話しかけた。
「ひなた、今日からこの子も家族だよ。仲良くしてあげてね」
クンクンと匂いを嗅いだ。ボクとは違う匂い。弱々しく鳴くから、心配だな、こいつ。
「舐めてあげてるの? 優しいね、ひなた」
ママが撫でてくれた。ママが喜ぶなら、ボク、こいつと仲良しになるよ!
数日経つと、そいつは黒い毛がふんわりとキレイになって、ボクに懐くようになった。
可愛い声、柔らかい体。
まだ赤ちゃんなのかな? ボクよりずっと小さいな。
「ひなた、るな。おいで、ごはんだよ」
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