ママに会いたい

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ママに会いたい

毎日のようにママとるなの夢を見た。 前世の夢を見る度、俺は涙を流していた。 だんだん「ひなた」は俺だという自覚が出てきて、早くママに会いたくて仕方がなかった。 でも…どうやって探す? 『ひなた、確かめてもらいたい人がいるの』 ある日の夕方、菜月…いや、るなからメッセージが届いた。 『確かめる? 何があったの?』 『今から言う場所に来て!』 俺は言われるがままに、るなの待つ場所へと向かった。 「ひなた!」 俺を見つけて、るなが手を振った。 「るな、何? 確かめるって…」 るなの通う高校近くの遊歩道に着いた。 るなと俺はベンチに座った。 「あのね、もうそろそろ通ると思うんだけど…」 そう言うと、るなは周囲をキョロキョロと見渡す。遊歩道にはウォーキングをしている人や犬の散歩、ベビーカーをひいたママさんがいる。 遠くを見つめていたるなが「来た!」と小声で言った。 「あの男の人! ワンちゃんの散歩してる若い人…」 るなの視線の先に俺も目を向ける。俺と歳が近そうな男性が小型犬を散歩させている。 「あの人の匂いを嗅いで欲しいの!」 「うん? …匂い!?」 「そう! あの人からママの匂いを感じ取れないか確認して欲しいの」 どういうことだと困惑しながらも、近づいてくる男性をチラチラと確認した。
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