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優しげな顔。
他の散歩中の飼い主さんとも、笑顔で挨拶をしている。ここが彼のいつもの散歩コースなのか…。
間もなく目の前を通過する。
俺は自分の嗅覚に集中した。
彼からママについて何か情報が得られるのか…?
小型犬の匂い…彼自身の匂い…。
必死に匂いを探る中、かすかにママの匂いがした。
記憶の中に残る、あの安心する優しい匂い。
彼が通り過ぎた後、俺はるなを見て大きく頷いた。
「どうする? 彼がママと関係があるのかもしれないのは分かったけど…」
るなが「うーん…」と腕組みをする。
「ひなた、彼に声かけてみてよ」
「えぇ! そんな突然!? 何て話しかけるの!?」
「分かんないけどさ…ひなた、得意でしょ! 初めて会う犬とも、すぐ仲良しになるってママ言ってたもん」
それは…犬だった前世の時の話で…。
「女の子から声かけた方が警戒されないかもよ?」
そう言って、るなに促そうとするも「私、人見知りなの!」とキッパリ断られてしまった。
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