打ち捨てられた異国のひねくれ王子を拾いましたが今さら返せと言われましてももううちの子ですので!!

1/24
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
朝、起きたら隣で褐色黒髪イケメンがベッドの中に生息していた。 ??? 誰だっけ、このすやすやと寝息をたてている見目麗しき、異国の殿方は? ……はい。承知しております。前髪が目に掛かっていて、一瞬誰だかわからなかったけれど、この男はまごうことなき、ひねくれ王子イアンだ。 え? なんで一緒に寝てるん? 私は頭からつま先までの全身にレーダー探知機を張り巡らせ、神経を集中させる。 すると。私の私。あらぬところに違和感がありまくりで。 (やば……え? ……やば) どうやら私はこの男と一夜を共にしてしまったようだ。 私たちはまだ出逢ったばかりのはず。いきなり初手でかましてしまいましたの巻。(;´д`) 頭がハッキリしてくると、さらに気持ちが冷えた。 (えぇまじやばあぁぁい!!) 一応、王子さまを起こさぬようにと、心の中で絶叫。 なんでこうなったんだっけ? イケメンから離れ、身体を起こして周りを見る。 (あー) 情けないことに、ベッドの上には情事の残骸があちらこちらに転がっている。なにが? と問われれば詳しく説明しなければだけど、ピーーー音を多用の生々しい話になってしまうので、そこは割愛させてください。 (夕べ、あれから……飲みすぎちゃったんだ) ローテーブルの上には缶ビールの缶がどんだけ開けたんだってくらい、ぎっしり置かれている。その周りには私が作った料理の皿。 そう。料理を作ったまでは覚えてる。イアン王子の歓迎会の後のことだ。いや料理を食べ、缶ビールのプルタブをガショと開けたのも覚えてる。 「おまえはほんっっと馴れ馴れしいやつだ!! 俺の国ならとっくに死刑になってるぞ!!」 夕べのイアンのセリフもところどころ覚えてるし。 はあぁ。やば。この情事、それ以上の死刑案件だオーマイガ。 天を仰ぎたい気持ちになった。ってか仰いだよ。 起こさないように無言で、ふぁぁぁーー!! ってね。 でも、そこでお相手さまがご起床されまして。私はひゅと息を飲んでしまった。 「ふわあ、よく寝たぁ」 と、寝ぼけまなこで起き上がり、両手を天へ突き上げ……は? 「え?! なに?! なんでおまえが俺のベッドにいるんだ!!」 はいぃ違いますう。 「……ここ私のベッドだし」 言いかけてはっと気づく。そこらの残骸を掻き集め、行為の隠蔽を謀ったが、時すでに遅し。イアンは慌てた様子で、「え? ちょ……っとま……ま、まさか、俺たち……」 「……まさかあ、そそそそんなことありませーん」 お互い強張った顔を見合わせて、数秒。 固まった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!