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第一章にゃ
空気が割れるような音にミーは思わず目を丸くし、三角の耳を両手で覆い、身を丸める。
何度聞いてもこの音には慣れないにゃ。
確か何かの始まりと終わりを知らせる予鈴とかいうものらしいが、テレビで聞いた音量のあまりの違いにミーはいつも毛が逆立ち、思わず震えてしまう。
とてもママさんには見せれないにゃ。
見せた瞬間に大笑いされるに決まってる。
ミーがちょっと失敗したり、ヒモで遊んだりしていると、決まってママさんは大笑いする。それがひどくミーの自尊心を傷つける。
ママは、ミーのことが大好きなんだよ。
そうとーちゃんがいうと、間髪魔を入れずに「嫌いだよー」と返し、ミーの鼻と自分の鼻をくっつけて擦り合わせる。
ツンデレは、猫の美学だというのに。
ミーは、思い出して嘆息する。
ミーがいるのは、キーが通っている小学校内に植えられた桜の木の太い枝の上。もう花は散っているが、ここからはキーのいる校舎がよく見える。
小学校一年生のキーは、一番下の階の教室の窓側に座っている。
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