第一章にゃ

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 普段からは考えらえないくらい、大人しく座っているキー。しかし、表情は、穏やかで学校生活を楽しんでいるのだと感じ、ミーは、目を細める。  キーが小学校に通うようになって早四ヶ月。無事に終業式を終えて、明日から夏休みとなる。  長かったにゃー。  入学してから毎日ミーは、この木の上からキーを見ていた。  それこそ風の強い日も、雨の強い日も。  木の上から見守ると言うのは正直きつい。  今も前足と後ろ足がプルプルにゃ。  でも、それも今日まで。  さすがに学校で虫取りをすることはなかった。  後期からは来なくても大丈夫そうにゃ。  安堵したミーは、木の幹を先の曲がったかぎ尻尾でニ回叩くと、幹の表面が布ように捲れ上がり、小さな穴が開いた。  猫の抜け穴。  ミーは、身体を起こすと、震える身体で穴の中に飛び込んだ。  穴を抜けるとそこはピンク色の白い砂が引かれたトイレの上に出たにゃ。目の前にはトイレと同系色の洗濯機が唸り声を上げながら揺れてる。  疲れたにゃー  ミーは、大きく欠伸をして、トイレから降りると、リビングへと移った。
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