第一章にゃ

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 細長い、しかし、ゆったりとした暖かみのあるリビング、スエーデンとか言う国のオーク材という木で作られた爪研ぎに向いたテーブル、草の香りのする、これまた爪の研ぎやすい井草の絨毯、白い食器棚に、湯気を上げるケトル、目玉のようにキョロキョロとセンサーを動かすエアコン、そしてタブレットの映像を見ながらヨガをしているママさん。  間違いなくミーの家にゃ。  おーいにゃ。  ミーは、ヨガに夢中になっているママさんに声をかける。  あっちからすると、ニャーと短く、そして可愛く鳴いたようにしか聞こえないが。  ママさんは、こちらを向き、一瞬微笑んだ後、すぐに頬を膨らませて怒った顔をする。 「まだ寝てたのあんた?キーはもう学校行ったよ。本当にマイペースなんだから」  ミーの気苦労も知らず、ルーズな娘に小言を言うような口調のママさんに腹が立つ。  まあ、そんなこと言っても仕方ないにゃ。  ミーは、顔を前足で擦り、向きを変えてキッチンへと歩いていく。昔、とーちゃんと夜に見た映画の怪獣のような低い声を上げる冷蔵庫の隣にミーの食事プレートがある。
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