8人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
元気いっぱい!スポーツ少女・茉莉
桜が舞う校庭。
昼休みにサッカーボールを追いかける女の子が一人。
「茉莉! 行け! シュートだ!」
「わかってる!!」
クラスで1番大きな背。
長めのショートカットが揺れて、力強いシュートが決まった……!
「やったぜ! 茉莉!!」
「茉莉すっごい!」
周りの女の子が拍手した。
「あはは……そんな事ないよぉ」
サッカー、ドッジボール、鬼ごっこでもなんでも1番強いスポーツ少女!
それが小学五年生の苑野茉莉。
昼休みは必ず体育館か校庭に誘われスポーツが定番だ。
「おい! 茉莉、マイキの新しいスニーカーまじカッコいい! 見たか?」
まだ春なのに、もう真っ黒に焼けてる角刈りサッカー少年が教室に戻ろうとする茉莉に話しかけてきた。
マイキは、大人気のスポーツブランド。
彼の全身コーディネートは、シンプルでかっこいいマイキで揃ってる。
「あ、いや~見てない」
「俺、次のテストで100点取ったら買ってもらうつもりなんだ……ってあんなにマイキファンだったのに、どうしたんだよ」
「う、うん~? まぁちょっと違うのもいいかなって最近思っててさ」
「オディダス? ペーマ? ジャンピオンもいいよな!」
彼の言っているのは、全てスポーツブランドだ。
女性向けの商品もあるが、茉莉は色や形など男性向けが好きで、ずっと身につけていたのだが……。
「ま、まぁね」
今日の茉莉の服装も、シンプルなロンTとジーンズ。
だけど最近、茉莉の趣味は変わったのだ。
言いたいけれど、言いにくいな……と複雑な表情で教室に戻る茉莉。
そのはるか上空に……なにやら蠢く気配があった。
最初のコメントを投稿しよう!