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図書室の司書担当の日は、朝が早い。
登校してすぐ、図書室の鍵を職員室で借りて、図書室を開けるところから始まる。
開けて終わりではない。
朝休みに本を借りたい人がいるかもしれないからと、ホームルームまで貸出カウンターにいなければならない。
図書室を離れる時は、鍵をかけて職員室に返却する。
以前は開放しっぱなしだったらしいけど、本が盗難に遭ったことがあるようで、戸締りをするルールになったのだとか。
めんどくさいルールだなと思うことはあるけど、本が盗まれるのは嫌だから、毎回きちんとルールを守っている。
昼休みも、朝と同じ要領で図書室を開放し、カウンターで貸出業務をする。
5時間目の授業が始まる前に戸締りをして、鍵を返却し、仕事はおしまい。
1日に2回の業務だけど、それなりに責任感のある仕事だし、何より大好きな本に触れられるから好きだ。
一ノ瀬くんも、もう少しサボらずに図書室に来てくれたらいいのに。
竹井さんと仲良くなって1週間。
また図書室の司書担当の日がやって来た。
昇降口で靴を脱ぎ、上履きに履き替える。
何気なく、一ノ瀬くんの下駄箱に目を向けると、白地に金色のラインが入った〈神速〉のスニーカーが入っている。
「…え」
スニーカーが入っているということは、つまり一ノ瀬くんは学校にいるということだ。
今日はサボらずに来てくれたんだ。
珍しいと思うと同時に、苦手意識はあれど来てくれること自体は嬉しく思った。
――ていうか、アンタも言い返せよ。
――言われっぱなしで悔しくないの。
一ノ瀬くんに言われた言葉が脳裏を過ぎる。
喧嘩をした訳じゃない。
ただ一方的に、私が苦手意識を持ってるだけ。
でも……。
どんな顔して会えばいいの……?
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