繋いでいくもの

2/4
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
全ての写真を見終えると「さて、本題だ」と前置きして、話し始めた。 「今、私は若手育成に力を入れていてね。きみに他の夢があるなら無理強いはしないが、どうだろう? 私のもとで勉強してみないか?」 俺はまさか、そんな話をされるとは夢にも思わず、しばらく状況が飲み込めていなかった。 「それは…カメラマンとしての勉強ってことで、いいんですか…?」 「まずはアシスタントとして、現場を手伝ったりして、色々と経験を積んでもらいたい。まぁ、きみはまだ高校生だし、やりたい事はこれからたくさん出てくるだろう。ゆっくりでいいから、ご家族と相談してみて」 俺はふわふわと落ち着かない気持ちのまま、帰り道を歩いた。 今までやりたいことも特になく、なんとなく毎日を過ごしてきた俺が、今大きな岐路に立たされている。 期待と不安が入り混じる。 碧に電話をかけた。 きっと賛成してくれるだろう。 今は背中を押してもらいたい気持ちだった。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!