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どのクラスも担任が来るまでは賑やかだ。
俺のクラスからも聞き覚えのある声が聞こえてくる。
病院と自宅での生活は、正直暇過ぎた。
勉強はさておき、あいつらとまたバカみたいな話をするのが一番楽しい。
「うぃ〜す! どーもー! 元気ぃ?」
俺のバカでかい第一声に、一瞬にしてみんなが振り向いた。わぁ、と声が重なり、いつものメンバーが駆け寄ってくる。
「おー! やっと来たかよ! 待ってたぜ〜。お前の席、あそこな」
お調子者で天然バカな岩田とグータッチをする。
こいつは小学校からの幼馴染みだ。
俺は窓際の一番後ろに座った。
「待ってたよ〜! 俺、めっちゃ寂しかったんだよ〜!」
「嘘つけ!」と俺は宇佐美を小突いた。
子犬みたいにキャンキャンはしゃぐ末っ子タイプの宇佐美は、中学で同じクラスになってから、ずっとこんな感じだ。
「おはよ。体調は大丈夫なのか?」
「お〜、東堂。休んでる間、色々サンキューな」
クールなメガネ男子の東堂は、去年同じクラスだった。頭は良いし、ふざけた俺たちのいいストッパーになってくれている。
時々とんでもないヘマもするけど。
「授業のノートとかプリントとか、マジ助かったわ。
…で、この犬の落書きは何?」
東堂がうちへ届けてくれたプリントの中に、小さい子が描いた犬の絵が挟まっていた。
岩田と宇佐美もそれを覗き込む。
東堂が静かにその紙を受け取った。
「…弟のだ、すまん」
照れたようにメガネをクイッとあげる東堂に、俺たちは吹き出して笑った。
その後、クラスメイトたちも代わる代わる「おかえり」「足、大丈夫?」などと声をかけてくれた。
ふと教室の出入り口に目をやると、校門で俺が肘鉄を食らわせた美男子がいることに気がついた。
間もなくホームルームの時間になり、担任の目黒先生が入って来た。
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