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プロローグ
桜の木が満開になり、また新しい春がやってきた。高校1年生になった一ノ瀬七海は大きな瞳をキラキラと輝かせ、これから3年間通う校舎を遠くから眺めていた。 春は好きだった。空も風も人も、みんなウキウキしているから。何より心機一転できる気がして気持ちが良い。
少し強めの風が吹き、七海の柔らかい栗色の髪がふわりと揺れる。両耳には瞳の色と同じ瑠璃色のピアス。七海はいとおしげに、少し悲しげにピアスに触れると、思いっきり息を吸い込んだ。
「楽しいことがいっぱいありますように!」
そう空に向かって叫び、両手を大きく広げて坂道を駆け下りた。
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