さよならボーイ 〜瑠璃色ハミングバード〜

第1話

「えー、以上で入学式を終了します。新入生の皆さんは担任の指示に従って教室に移動してください」

その言葉と同時に体育館にいた生徒達がぞろぞろと動き出し、新入生達は教師に誘導されてそれぞれのクラスへと別れていく。

七海の通う青葉西高校は都心から少し離れた郊外にある共学の公立校だ。偏差値もそれほど高くない平凡な学校だが、自由な校風の為か人気のある学校でもある。今年も例年通りたくさんの新入生がこの学校に入学してきており、A組からE組までの5つのクラスで分けられている。

七海の出身中学校からも多くの生徒がこの高校に進学しているが、仲の良い友人とは別々のクラスになってしまった。…が、七海はそんなことは全く気にしていない様子で、むしろワクワクとした表情を浮かべながら友人に宣言する。

「よし！決めた！オレの新学期の目標は『新しい友達100人作ること』だ！」
「おっまえ、小学生かよー！」
「いーんだよっ！オレ、本気だかんなー！」

呆れたような友人の言葉を笑い飛ばし、七海はこれから1年間過ごす教室へと向かっていくのだった。