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そうして僕らは、この日を以って赤の他人へとなった――
「あれは散々な出来事だったな」
身支度をしながら回想していた。
結局、僕に彼女という存在はできないのだ。
陽キャ、陰キャに隔てなく優しくしてくれる人など、一人もいないに等しい。
鞄を背負うと、玄関のドアを開けて鍵を掛けた。
そのまま門の扉を開けて家を出た。
「僕の高校生活はきっと、残酷になるだけだ」
僕はそう呟いた。
今日から新しく通う高校―――私立水都学園。
学校内の設備や環境は、他の高校よりも綺麗だとネットで見たことがある。
まぁ良い方ならまだましか。
そう思いながら、正門へと足を踏み入れようとしたとき――
「あら、中学以来ね」
この声の主は――
「綾崎昴君」
元カノで同じ中学出身の、神崎風華である。
「何であんたが此処にいるんだよっ」
「それはこちらのセリフです」
「はぁ、ったく。元カノの顔なんざ見たくもないから、わざわざ遠い高校を選んだのに。ついてないな」
「何を仰言るかと思えば、底辺な愚痴ですね」
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