1章  滅び

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 入学初日からこれか。  やっぱりそうだ。  僕が此処にいていい理由なんて何一つないんだ。  心の中でそう呟いた。    入学式はリモートで行った。  最初から最後まで話が頭の中に入って来なかった。  噂話が入学初日から起っていると、これから毎日虐められるんだろうな。  入学式が終わり、休み時間になると教室中が五月蝿くなった。  僕の机に男子たちが数人、寄ってきた。  「なあ陰キャくぅん」  「・・・何ですか」  「ああ?喋んじゃねーよ!」  突然、僕の机に台パンした。  何で喋ってはいけないのかよく解らない。  「ジュース」  「?」  「あ?買ってきてこいっつてんだよ!」  「すみません。ちゃんと言ってくれないと分からないもので――「とっとと行け!」」  他の男子たちも次々に  「俺にも〜」  「コーラで」  「ジンジャー頼むわ」  と、注文してきた。  僕は椅子から立ち上がった。  「1分で買ってきてこなかったらどうなるか、理解るよな?」  脅そうってわけか。古いな。  「はい」  廊下を出て落ち着いた足取りで買いに行く。
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