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1章 滅び
2025年4月5日
毎日が退屈な生活を送る――
こんな生活は、生まれてからずっと変わらないままだ。
もう、16年も経ったのに。
僕、綾崎昴は、この春から高校生になった。
神奈川の横浜に住んでいて、自宅はマンション。当然、一人暮らしだ。
母親が、産まれてすぐに他界してしまい、父親は産まれた僕を見捨てて遠いところへ出かけていったまま、帰らなくなった。
赤ん坊がどうやって生活したんだ、なんて訊いてくるが、それについては言えない。
とにかく、僕は小学校からずっと独りだった。親もいない、おまけに友達なんて1人もつくれなかった。
ずっと、独りだった――とは限らなかった。
こんな僕にも優しくしてくれた人がいた。
それは、僕が中学に上がった頃であった。
この頃の僕は、所謂陰キャ組だった。
僕の席の隣はガチの陽キャ男子で、休み時間になると周りが寄ってたかってくるため、五月蝿くて本の続きが読めない日もあったことだ。
そんなある日のこと――
僕は教室とは違うところにいた。
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