1章  滅び

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 「屋上は人がいなくていいな・・・・・・」  僕は昼休みになると、よく屋上へ足を運ぶようになった。  勿論、本を読みながら弁当を食べる、という僕流のランチタイムだ。  「今日は天気も良いし、日向の方で食べるとするかぁ」  そう呟いてフェンスの方へと歩こうとしたその時――  「綾崎・・・君?」  「へっ・・・?」  後ろを振り向くと、そこには学校一美少女と云われている女子が1人日陰のところで座っていた。  彼女の名前は――  「かっ、かかか神崎、さん?」  「偶然・・・だね?」  疑問形で話しかけてきた1年2組の神崎風華(かんざきふうか)さんは、いつ見ても綺麗なその顔を驚愕に染めていた。  「えっ・・・と」  神崎さんが気不味そうにしている。  不意に声が出た。  「あー、場所間違えたなぁ〜。僕、教室に戻るね」  僕は苦笑いをして屋上から離れようと回れ右をした。  「ま、待って・・・!」  何故か神崎さんが引き止めた。  こんな陰キャに何か言いたいことがあるのか・・・?  「僕に何か用・・・?」  「ふぇっ、と・・・」
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