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しかしこのままずっと眠らずに待っているわけにもいかない。
レオンスには明日もいつも通り、自分の責務が待っているのだ。
今日のような凡ミスを二度と起こさないように、体の回復に努めようと、無理やり目を閉じたレオンス。
そこへ――コンコン。
という扉を叩く音がレオンスの耳を突いた。
五感が敏感になっていたせいで、ベッドから勢いよく飛び起きたレオンス。
返事をする前に、扉の前へと駆けていた。
「あっ、旦那様」
ボニーでございます。と告げる前に内側から扉が開いて一番驚いたのはボニーだろう。
そしてレオンスの顔を見て、ボニーはすぐに自分の予感が的中したことに歓喜した。
「失礼いたします」
ボニーはレオンスにそれだけ告げると、すっと後ろに下がり、隣にいたリアの背中を押して、来た道を戻って行った。
文字通りボニーに背中を押されたリアは、意を決してレオンスの瞳を覗いた。
「……あの、迷惑じゃ、ありませんか?」
どうか、迷惑だと言わないで。
少しだけ震える指先を隠すように、胸の前でぎゅっと手を包む。
「……」
緊張した面持ちで恥ずかしそうに自分を見つめるリアを前にすると、どうしても愛おしさが込み上げてくる。
なによりも大事なリアが傷つかなにように、今度こそは自分の欲望に負けないように固く決意をして、レオンスはリアの体を抱きしめた。
「迷惑なんてあるはずがない」
「………っ……良かった、です」
リアの体を抱き寄せて、レオンスは部屋の扉を閉めた。
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