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例えばあなたの目の前に美味しそうなラーメンがドンッと置かれたとする。
そしてあなたは丸一日なにも食べていない。
この場合、あなたはそのラーメンを食べる?
それとも食べない?
「えー、そりゃ食べるっしょ」
真っ先にそう答えたのは食いしん坊の優美だった。色白のぽっちゃり体型で、性格は明るく、誰とでもすぐに打ち解けるみんなの人気者だ。
「私ラーメンきらーい。匂いが無理。そんなの食べるくらいなら他の食べるー」
眉をひそめてそう言ったのは東京から帰省している玲奈だ。学生時代までは大人しい性格だったのだが、向こうに就職してから急に垢抜けて性格まで変わってしまった。
「ねぇ千尋ちゃん、そのラーメンって何味? とんこつ以外なら大丈夫なんだけど」
慎重派の理緒はいつも通り質問返しだ。高校の同級生4人の中で唯一国立大を出た成績優秀者。メガネも黒髪も高校時代と変わっていない。
「理緒の好きな味でいいんじゃない? ってか別に大した意図はないよ。テキトーに話題振っただけで」
「え、なんだ。心理テストか何かかと思った」
理緒がそう言った時、ジョッキや皿が散乱したテーブルを優美がドンっと叩いた。
「ちょっとー、千尋のせいでラーメン食べたくなったじゃん。これからみんなでラーメン屋行こうよ」
「えー私はパスー。っていうかそろそろ解散しない? もう10時過ぎてんじゃん」
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