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「っていうか、理緒は実家帰ってないの?」
「帰ってるよ。今日もほんとは実家に帰る予定だったんだけどね」
「あ、そうなの?」
「うん。でもせっかくだから千尋ちゃんと過ごしたいなと思って。一番気が合うから」
気が合うと言ってもらえて悪い気はしないのだが、実はたまーに理緒の難しい話が理解できないことがある。理緒本人は知能の差をあまり気にしていないらしい。
その後、コンビニで間に合わせのお泊まりセットと朝食を買い、すぐにアパートに戻った。朝食分は理緒が奢ってくれると言うので遠慮なくお願いした。
「千尋ちゃんはいつも何時ごろ寝てるの?」
「大体12時かな。理緒は?」
「私もそのくらいには寝たいんだけど、本読んでたら1時過ぎちゃったりするんだよね」
そう言いながら腕時計を確認した理緒は、「千尋ちゃん、お風呂先に入って」と私にパジャマを貸してくれた。
こういうシチュエーションは久しぶりだ。元カノともこんなふうに過ごしたな、と思い出に浸りながらシャワーを浴び終え、理緒と交代する。
「すぐ出るから待ってて。その辺の本とか適当に読んでていいよ」
そう言われて一応本棚を見てみたものの、小難しいタイトルの本ばかりなのを確認して一瞬で座布団に戻った。私はスマホで充分だ。
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