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Ⅰリンの章【救出】
ずっと宙に浮いているかのようにふわふわしておぼつかない。
夢かもしれない。
恍惚のまどろみから醒めても、まだ、中にユキがいる。
「…っ、…は、……ぁ、…―――っ」
吐息が漏れる。声にはならないけれど。
立て続けに快感に穿たれておかしくなりそうだ。
何度もリンの中に注ぎ込んだのに、ユキのものは未だ大きく固く強くそそり立っていて、蕩け切ってひくひくと痙攣するリンの中を巧みにかき混ぜる。どくどくと脈打って、自分では到底届かない身体の中心部にまで押し入って、その熱を浸透させる。その度に、新たな快感が閃光のように弾けて、為す術もなくユキにしがみついたまま、歓喜に涙が零れる。
「…うん。気持ちいいな?」
ユキはリンの最奥を甘く揺らしながら、青い目を優しく細めてリンの涙を舐め取る。温かくて柔らかくて優しい。白き人狼の長い舌に撫でられて、リンの涙は止まらなくなる。こんなに心地いい涙があるなんて知らなかった。何もかもが洗い流され清められて、新しくまっさらになって、ユキの熱だけを注ぎ込まれている。
気持ちいい。そんな言葉じゃ追い付かない。
想像もできなかった甘い幸福の激流に飲み込まれて窒息しそう。
夢みたい。夢かもしれない。
夢ならどうか醒めないで欲しい。
白い人狼のユキは、リンを森の奥深くにある狼たちの洞窟に連れてくると、慈しむようにリンの身体の全てを舐めた。
人狼の唾液には浄化作用があるが、白い人狼は特に人間に対する治癒効果が高い。一糸まとわぬ肌を隅々まで丁寧に舐められ、傷つき破壊されたリンの身体は再生した。
大きな手で身体を開かれ、華奢な凹凸をゆっくり撫でられると、乾いた細胞が水を得たように潤み、まだ見ぬ快感を求めて腰が揺れた。足の指を牙のある口に含まれ、人よりはるかに長い舌でなぞられると、感じたことのないぞくぞくするような快感が腰のあたりに立ち昇り、声にならない吐息が漏れた。控えめな胸のふくらみを手のひらで包まれ、じわじわと熱を帯びるそこを柔らかくしだかれると、吐息と共に先端が張りつめる。
焦らすように摘ままれたまま長い舌に吸われて、リンは初めての快感に弾けた。
「敏感なんだな」
小さな爆発に投げ出されたリンをしっかり抱きとめ、甘く笑いながらユキが優しくリンの吐息を飲み込む。口の中をくまなくなぞられ、舌を舌で絡め取られて、吸われ、食まれ、喉奥深くまで差し込まれて、快感の戦慄が身体中を駆け抜ける。
敏感、なんて言われたことはない。
泣かない。笑わない。声を上げない。痛みも苦しみも感じない。感情が欠如した能面人形だと言われていたのに。
ユキが触れると涙が零れる。
優しい温もりが胸の中に落ちてきて、心があったんだと分かる。
この喜びを、愛しさを伝えたい。
ずっとリンを救ってくれていた名前を呼びたい。
「…、っ…――――――」
でも、吐息のような喘ぎ声しか上がらない。
「…うん。ここにいるから」
ユキはその滑らかな肌と毛並みでリンを包み込み、長い舌を奥まで絡めて、指先と舌先で何度もリンを弾けさせてから、固く大きく屹立したものでリンを貫いた。蜜のように甘く溶かされて待ち焦がれた中に突き入れられると、驚くほど滑らかに、甘い熱に穿たれながら、奥までみっちり受け入れていた。
背中に腕が回り、長い足が交わって、身体の中心が奥深くまで繋がっている。中にも外にもユキがいて、あらゆるところでぴったり触れ合って、まるでユキの一部になったかのような幸せに、快感が弾けて止まらない。
ユキ、…ユキ、…――――――――――っ
応えるように、ユキはもうすっかりなじんで潤んで、溢れ返らせながらユキを欲しがるリンの中に、白い液体を注ぎ込んだ。ユキが爆ぜる衝撃で、リンはまた深い歓喜の渦に叩き落とされる。二人の液体が音を立てて混ざり合い、重なり合う二人の間から、溢れて、滴り落ちていく。
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