運命をひねった二人。

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 2 「わかるだろう。」  桜の下で、二人の老男が話し込んでいる。それを、離れた位置から二人の老男が眺めていた。何の巡り合わせか。ご都合主義で非現実的だが、これが運命だと名付けられるなら受け入れてもいいのかもしれない。  あの頃の自分なら即座に切り捨てていた論理(ロジック)だった。  庭の隅にあるベンチに腰掛けていた端葉帝士(たんばていじ)は、歳の重ねで丸みと許容を獲得した己を俯瞰して吐息をこぼした。すっかりツーピーススーツよりボタンパジャマが似合うようになった。 「やっ、やはり勘違いですよね。ありえませんもんね。これは僕たちにも言えることですが……」
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