運命をひねった二人。

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「意外に思われるだろうね。私はどうも珈琲が苦手なんだ。そういう嗜好の設定で、自宅には京都から取り寄せた最高級の急須があるくらいなのだよ」驚くべきことに、スーツで湯呑みというスタイルが割合人気があったと聞いている。「海堂と世界を巡る過程でドイツ紅茶、ハワイアンティー、スペインのカモミール……その他にも色んなお茶を嗜んできたが、やはり最後には素朴な緑茶に落ち着くんだ。帰国するたび実感したものだ。江川さんも各国に出向いていたんだろう? そこでは何を」 「あ……その」江川は、気を緩めるとすぐに尖ってしまう唇をモゴモゴさせてから、「僕は、でして」 「全て日本で……ああ、なるほど!」  端葉は年甲斐もなく声を弾ませて膝を叩く。向こうの二人から怪訝な眼差しを浴びせられると、彼は咳払いと共に居住まいを正した。 「、そしてか。通りで私の記憶にオランダでの攻防が無いわけだ。記憶が正しければになったんだか。ともあれ安心したよ。で、旅先ではどんなことをしたんだい」
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