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『著者:というクロスオーバー短編を載せたいのですが、どうでしょう? タイトルは、『運命をひねった二人。』で。』
返信はものの数分で返ってきた。
『編集者:発想は素晴らしいと思います! いわゆる本格モノで展開される端葉シリーズと、児童書レーベルで出版されている探偵倶楽部シリーズ。二つを追いかけている読者であれば垂涎の一編でしょう。しかも海堂と甲斐がお互いに相手を因縁の『探偵』と勘違いしているのも、エンタメとしては良いですね。
また、不意に挟まれるメタ要素も面白いです。特に、怪盗が探偵に挑戦状を送る意義なんて物語を動かすための歯車でしかないのに、実直に悩む姿が印象的でした。
ただ、正直にお伝えすれば、昨今の先生の著作の売れ行きは芳しいとは言えません。もう少し知名度を上げてから上梓するのが吉かと。』
この編集者は明け透けだが下手に諂われるよりはマシだった。私は片方の口角だけを苦く上げて、メッセージを打ち込んだ。
『著者:知名度が無いからこそ、両作品をいっぺんに知る機会を設けたいと思ったのですが……。』
私の食い下がりを面倒に思ったのか、編集者は次にはもうすっかり話題を変えていた。
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